コロナワクチンにヤマサ醤油の技 うまみ成分の研究、mRNAの原料供給に進化
新型コロナウイルスワクチンの主要な原料で、日本企業が存在感を示しています。
中でもヤマサ醤油(1645年創業、千葉県銚子市)は、ファイザーやファイザーなどの新型コロナワクチンで使われる重要な遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)に欠かせない「シュードウリジン」という原料を供給して貢献しています。
シュードウリジンは、新型コロナワクチンのスピード開発につながるカギとなった物質です。mRNAは、体内に入れると免疫が働いて炎症を起こすことからワクチンへの活用が難しいとされてきましたが、ハンガリー出身の研究者カタリン・カリコ博士たちが、mRNAを構成する物質の一つである「ウリジン」をシュードウリジンに置き換えることで、体の免疫システムに異物として認識されず、体内にとどまりやすくなることを示したそうです。
醤油づくりを400年近く続けてきたヤマサは、うまみ成分を作る研究を派生させて1970年代に医薬品分野に参入しました。
シュードウリジンは80年代から海外に輸出していて、従来は研究用が中心で出荷は少量でしたが、コロナ禍で状況は一変し、コロナ前の数十倍以上に伸びたそうです。
その他にも、ワクチンを支える日本企業は幅広いようです。
ガラス大手のAGCは、ファイザー製ワクチンの原料である「プラスミドDNA」の製造を自社のドイツ工場で受託しています。
プラスミドDNAには、mRNAに遺伝子情報を転写するための「金型」のような役割があり、需要増加を受け、生産ラインを増設する方針だそうです。
富士フイルムは、バイオ新興企業VLPセラピューティクス・ジャパンが開発を進めているワクチン製造の受託契約を結んだとのこと。
医療新興企業アンジェスと大阪大学が共同開発するコロナ向けのDNAワクチン製造では、化学メーカーのダイセルが保有する特殊な機器が活用されているそうです。