たん吸引などのケアが必要で、マスクを着けにくい子どもたちのために、兵庫県・西宮市立小学校教諭の考案した透明のシールドが商品化されました。

 

今回考案されたシールドは、眼鏡のつるの部分に取り付けるだけで立体的に装着できるそうです。

マスクほどの感染防止効果はないものの、口元が見えるため介助しやすく、子どもたちが学校で落ち着いて過ごせる状況づくりに一役買っているとのことです。

 

たん吸引などの日常的に医療行為の援助が必要な子ども(医療的ケア児)や重症心身障害児は、マスクを着けていると呼吸状態の変化が見えづらく、命に関わる場合もあるそうです。

 

そのため、新型コロナの感染が拡大する中でも、特別支援学校・学級などでは児童生徒にマスク着用を徹底していない場合もあるようですが、通常学級では他の児童たちがマスクを着けているため、対応の違いが子どもたちのストレスになることもあったそうです。

 

西宮市立春風小学校の中島教諭は2020年5月、眼鏡と組み合わせたシールドを思いつき、顔全体でなく鼻と口だけを覆う形で、自らサンプルを作成したところ、他の教諭からも「子どもの気持ちがくみ取りやすい」と好評を得たそうです。

 

量産できないかと考え、眼鏡ブランド「Zoff(ゾフ)」を展開するインターメスティックに提案したところ、同様の商品を開発中だったとのことで、約1ヵ月後、中島教諭のもとに新製品のサンプルが届きました。

重さ約7グラムと軽量で、試着した児童も相手の顔を見て笑顔を浮かべたということです。

 

理化学研究所計算科学研究センターのチームリーダー、坪倉・神戸大教授は、同製品について、

「大きな飛沫についてはブロックできる一方、エーロゾル(微粒子)を完全に防ぐことは難しいため、換気などの対策と併用することが望ましい。」

その上で、「マスクのできない子や口の動きが大切な語学の授業、発声が重要な音楽の授業ではマスクの代替えとしてある程度の効果は期待できる。」

と一定の評価を与えています。

 

ゾフは障害児だけでなく、マスクの着用が困難な人や、マスクやサングラスとの併用を念頭に「メガネ用透明オーバーマスクシールド」としてオンラインで販売しているとのことです。

 

 

6/18 神戸新聞