子育て世代のがん患者が交流する一般社団法人「キャンサーペアレンツ」が、抗がん剤治療に取り組む母と娘の日常を描いた絵本「ママのバレッタ」を出版しました。

 

国立がん研究センターの推計(平成27年発表)では、18歳未満の子供を持つがん患者が、1年間に約56,000人ずつ発生するとされ、子供にがんを伝える際のツールとしても注目を集めているそうです。

 

 

絵本は「ママが、がんになった」との一文から始まります。

 

抗がん剤治療を始めて自慢の長い髪が抜け、髪を束ねるバレッタを使えなくなってしまうママを、小学生の娘の視点で、親子のやりとりや日常を描いています。

 

最初は悲しんでいたママも、季節の移り変わりとともに帽子やウィッグ(かつら)を楽しむようになっていきます。

 

 

絵と文を担当した田中聡子さん自身も10年前に会社の健診をきっかけに大腸がんのステージ4と診断されたそうです。

 

当時、長女は4歳で、手術で入院するときに、「おなかに悪いものができて切るから、1週間くらい入院するね」と説明したそうです。

 

手術後も吐き気など抗がん剤治療の副作用で苦しむ姿を見て、長女は「死なないでね」というようになり、「きちんと説明しなければ、余計につらい思いをさせる」と判断し、診断から約3ヶ月後にがんという病名や、薬のせいでしんどいこと、でも絶対に元気になることを伝えたそうです。 

 

現在は寛解し、この絵本を作成することになったそうです。

 

がんがテーマだから笑っちゃだめということはなくて、重くならずに親子で気軽に読めるよう、クスッと笑える部分を多く作ったそうです。

 

また、がんの治療は長いので、隠し通すことはできないので、この絵本が子供とのコミュニケーション深めるきっかけになればと願っているそうです。

 

 

「キャンサーペアレンツ」は、平成28年4月に発足し、子育て世代のがん患者が交流し、メンバーの発案で、平成29年に「絵本プロジェクト」がスタートしました。

 

メンバー14人で企画・制作から助成金集め、出版社との交渉などを分担し、平成30年11月に第一弾の「ママのバレッタ」の出版が実現したそうです。

 

子供への伝え方については、がんになった親とその子供をサポートするNPO法人「ホープツリー」が、「子供に年齢に合わせて、適切かつ正確な情報を伝える」などの「10の秘訣」を公開しています。

 

 

3/11 産経新聞