東北大学は、スギ花粉症などのアレルギー疾患の治療法として注目され、健康保険適用の薬も登場した「舌下免疫療法」が、免疫系に働く仕組みを明らかにしたことを発表しました。

 

この成果は、日本学術振興会特別研究員の田中志典博士と東北大学大学院歯学研究科口腔分子制御学分野の菅原俊二教授らのグループによるもので、5月11日に国際粘膜免疫学会学術誌MucosalImmunology電子版に掲載されました。

 

舌下免疫療法とは、舌下の粘膜からアレルギーの抗原を吸収させて、症状の改善を図るアレルギー治療法ですが、その詳しい仕組みはこれまでわかっていなかったそうです。

 

研究グループらは、マウスの舌下に抗原を入れた際に、所属リンパ節である顎下リンパ節で「制御性T細胞」が誘導されることを発見しました。

 

粘膜がアレルギーの原因物質を検知すると、「樹状細胞」と呼ばれる免疫細胞が顎の下にあるリンパ節まで物質を運搬し、さらに別の免疫細胞「制御性T細胞」がアレルギー症状を抑えるのを確認したそうです。

 

この研究により、これまでの花粉症などのアレルギー性鼻炎や喘息だけではなく、ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、金属アレルギーなどの遅延型アレルギーの抑制にも有効であることが分かりました。

今後の応用が期待されます。

 

参照記事:産経ニュース東北大学