神戸市医師会は、要介護者が延命治療や療養場所について事前に意思表示できるシートの作成を進めています。

 

病気の終末期や急変時に備え、ケアマネージャーらが希望を聞き取り、情報を集約したQRコードを発行し、救急隊や救急病院などが専用端末で読み取ることで、本人の意識がなくても意思を確認できる仕組みを目指しています。

 

医師会は、神戸市に提案する方針で、市は導入の可否を含む本格的な検討を始めるそうです。

 

シートでは、延命と苦痛の緩和のどちらを優先するのか、病院や住み慣れた場所のどちらで治療を受けたいかなどを明確にするそうです。

 

本人が意思を決められない場合は、複数の質問への回答で人生観や価値観をおおまかに把握し、家族らが意思を推定できるようにするそうです。

 

これらの情報を入退院や服薬の記録とともにデータ化し、本人や家族が所持するQRコードを読み取れば閲覧できるシステムを検討するそうです。

 

シート作成には、希望していない救急搬送を避ける狙いもあり、望まない搬送や蘇生を防ぐ取り組みは、全国各地で広まりつつあるそうです。

 

総務省消防庁の2018年の調査では、全国728の消防局や消防本部のうち45.6%が、患者側から蘇生を拒否された際の対応を定めて、そのうち約3割は、「医師からの指示など一定の条件の下に、心肺蘇生を実施しない、また中断できる」としているそうです。

 

内閣府の調査によると、55歳以上の約55%が自宅で最期を迎えたいと望んでおり、その一方で、2017年に亡くなった約134万人のうち、自宅で亡くなったのは13.2%の約17万7千人で、在宅死の実現が難しい現状が浮き彫りになっているそうです。

 

厚生労働省は、終末期の治療希望などを事前に家族や友人らと話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の啓発に力を入れているそうです。

 

 

8/11 神戸新聞